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2007年11月22日 (木)

常態として深夜時間帯に勤務する労働者の年休手当

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今日は仕事で東京造形大学へお邪魔しました。

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大学のキャンパスの雰囲気って良いですね!!

大学時代に少し戻りたくなりました。

でも大学卒業してからのビジネスの幸運を考えてみると、やっぱり今が一番良いと思います。。。

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美術系の大学だけ合って建物も構内も「アート」です。

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工場みたいな建物もあり、芸術系大学を感じました。

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今日の話題は常態として深夜業に従事する労働者の年次有給休暇手当。

年次有給休暇を取得した場合には、①平均賃金、②通常支払われる賃金、③社会保険の標準報酬日額のうちどれかを支払うこととなっている。

一般的には②の通常支払われる賃金を選択するケースが圧倒的に多い。

この通常支払われる賃金とは一体どの様なものであろうか。

例えば深夜時間帯に常態として所定労働時間がある場合の労働者が年次有給休暇を請求してきた場合には、深夜手当を含めて年次有給休暇手当を支払うべきなのか。

結論からいうと明確な通達は存在しない。

通達では、昭27.9.20基発675号により以下の通りとなっている。

「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金には、臨時に支払われた賃金、割増賃金の如く所定労働時間外の労働に対して支払われる賃金等は、算入されないものであること」となている。

ポイントは「割増賃金の如く」の解釈である。

割増賃金については労働基準法第37条に規定されており、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働について定められている。

この「割増賃金の如く」に深夜手当が含まれているのかを検討しなくてはならない。

労働基準法施行規則第25条に「有給休暇の期間に支払われる賃金の算定」が定められており時給者は賃金にその日の所定労働時間を乗じた金額とし、日給者はその金額等定められている。

要は所定労働時間の賃金を支払うこととされているのである。

この条文には出来高払い制についての計算方法は規定されているが、それ以外の規定については月給や時給といった賃金の支払い形態を規定しているのみである。

厚生労働省労働基準局編の労働基準法コンメンタールにおいても「通常の出勤をしたものと取り扱えば足り」とのみ記載されているに過ぎない。

東京大学労働法研究会編の注釈労働基準法についてはこの記載がない。

しかし、労働調査会発行で厚生労働省労働基準局労働時間課編の書籍においては、前述した通達の「割増賃金の如く」の解釈について深夜手当は除かれており、常態として深夜時間帯に所定労働時間があるものについては、当該深夜手当を含めて年次有給休暇手当の計算をせよと記載されている。

労働基準法コンメンタールについては労働基準法第38条の2の事業場外のみなし労働時間制度について事業場外労働について「所定労働時間労働したものとみなす」場合には事業場外と事業場内の労働を含めて所定労働時間労働したものとみなすと記載されているが、実際に労働基準監督官が臨検に赴いた際は、この解釈を無視し、事業場外労働時間と事業場内労働時間を別々に計算せよという指導がなされる。

労働基準法コンメンタールについては、法令や通達についての厚生労働省の解釈を述べているに過ぎず、解釈である以上強制力はなく、事業場外のみなし労働については使用者に厳しい指導がなされているのである。

当局が編著した書籍において記載されていたとしても、それが法的根拠をもつかは別問題である。

それを前提にして、常態として深夜時間帯に所定労働時間がある労働者の年次有給休暇手当について、労働基準監督官の臨検の際に議論をしたが、昭27.9.20基発675号の通達の解釈について一つの考え方を述べただけであり、常態として深夜時間帯に所定労働時間があるものについての年次有給休暇手当を深夜手当を含めて支払うことの法的根拠にはならないという結論に至ったことがある。

理由として、我が国は実労働時間主義をとっており、実際に働いた時間が労働基準法第37条に該当する場合について割増賃金を支払うこととしている。

例えば年次有給休暇を半日取得した場合には、半日取得し午後の出勤をしてから8時間を超過した時点で割増賃金の対象となる。

所定労働時間を超過して8時間を超えるまでは所定内残業の扱いであり、割増賃金の必要はない。

また、労働基準法の考え方として人間は夜寝るものであり、本来寝る時間帯に業務に従事しているわけであるから深夜割増を支払えというものである。

この様に考えると、常態として深夜時間帯に勤務するものが年次有給休暇の取得をしたことにより、深夜時間帯の業務から開放されているわけであるから、上記2点により深夜手当を計算に算入しない賃金を通常の賃金と解釈することが妥当であるとの結論が導き出せるのである。

この結論については通達の解釈の一つであり、明確な通達が存在しない以上深夜手当を年次有給休暇手当に含めなくても労働基準法第39条違反となることはないと考えることが出来る。

この点については明確な通達が出されるか、裁判所の判断が出されるか、どちらかが出るまで結論は出ない問題である。

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コメント

労働調査会発行で厚生労働省労働基準局労働時間課編の書籍においては、とありますが、書籍の名前を教えていただけないでしょうか。

投稿: 丸岡恵美子 | 2008年12月 4日 (木) 22時38分

労働調査会発行の「年次有給休暇制度の解説とQ&A」になります。

投稿: やまもと | 2008年12月10日 (水) 17時42分

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